能古島おがわ農園 小川 舞さん ┃ 能古島への移住・新規就農を果たした若手農家から見える能古島の景色とは(前編)

博多湾に浮かぶ『能古島』へ移住し、ブルーベリーや能古島発祥のピーナッツもやしを栽培する農家として夫婦で【能古島おがわ農園】を切り盛りする小川舞さんに前編では能古島へ移住されたきっかけや就農のきっかけ、苦労などについて伺いました。

ー本日はお時間を頂き有難うございます。よろしくお願いします。

 

小川舞さん(以下『小川』):こちらこそよろしくお願いします。

 

ー早速ですが簡単に自己紹介を御願いします。

 

小川:『能古島おがわ農園』を運営しており、ブルーベリーとピーナッツもやしをメインに柑橘類を栽培しています。

 

ーありがとうございます。ここ能古島に移住してこられて新規就農をされたとうかがっていますが移住し就農された経緯を伺ってもよろしいですか?

 

小川:きっかけは主人との新婚旅行でした。オーロラを見たくなってアラスカに行ったんです。そのときにオリーブオイルとお酢がとても美味しい素敵なお店に出会って感銘を受けて夫がそのお店を日本でやりたいって言ったんです。

 

ーご主人はその時はサラリーマンだったんですか?

 

小川:そうです、サラリーマンでした。以前から夫はいつか自分で起業して何かを始めたいって言っていて、そのお店を日本でやりたくなったようです。そこからいろいろ調べたんですが当時は日本ではそのお店ができないということがわかって諦めたんです。ただこのことがきっかけでオリーブオイルの道へ進もうとかじ取りをし始めたのが最初のきっかけです。

 

ーなるほど、それでは日本に戻ってきてから本格的に動き始めたわけですね。

 

小川:そうですね、日本に帰ってきてから夫がオリーブオイルソムリエの資格を取得して熊本の天草にあるオリーブ園で働き始めました。このままずっとそこで働こうと思っていたんですが、待望の赤ちゃんを妊娠したのと、その時にたまたま来られたお客さんが福岡の方で、その方から糸島のブルーベリー農家さんがオリーブ栽培もやっているから行ってみたら?と勧められたので行ってみることになりました。

 

ー天草にたまたま福岡からお客さんが来られてそんな重要な情報を教えてくれるなんてすごい偶然ですね、運命的な物を感じてしまいますね。

 

小川:そうですね、その後約1年半ほどその農家さんの所で農業の勉強をさせてもらいブルーベリーや果物の栽培を学び独立することになりました。

(400本以上のブルーベリーが栽培されているブルーベリー園。程よい酸味と甘みのバランスが良く皮まで食べられるのでお子様にも大人気の逸品。)

 

 

ーなるほど、独立するときに能古島を選んだのは何か理由があったんですか?

 

小川:糸島も含めていろいろ場所を考えたんです。だけど糸島で始めちゃうとお世話になった農家さんと競合になってしまうのどうしようかと考えてた時に能古島はどうだ!って夫の頭に浮かんだらしくそれで能古島に決まりました。

 

ー能古島ってご主人から聞いて小川さんはどうでした?

 

小川:能古島!?と思いましたが「わかりました」って言いました()

 

ー不安とか無かったんですか?

 

小川:もちろん事前に能古島での生活がどんなものなのか、何が不便だったりするのかは調べました。調べていくうちに私たち世代の移住者が実は結構いるということがわかって、本土に行くのも船で10分の場所なら多少は不便かもしれないけど逆に楽しいかもねって考えになり移住を決意しました。

 

ーじゃあそこからすぐに能古島へ移られたんですか?

 

小川:いえ、最初は夫が糸島から能古島まで通ってました。というのも私が2人目の子供を妊娠してたっていうことと、能古島で借りられる家が無くて空き家が出てくるまで1年くらい待ちました。

 

1年も糸島から能古島まで通ってたなんてものすごく大変ですね。

 

小川:そうですね。能古島の農家の方から空いている農地をお借りしたんですけどそこが耕作放棄地でものすごい状態だったのでそれを夫1人で開墾して整地していましたね。

 

ーなるほど、独立して最初の試練というわけですね。就農しての苦労は何でしたか?

 

小川:ブルーベリーや柑橘はまず数年かけて苗を育てるところから始まるのでそこが大変でした。手間はかなりかかりますが事業計画書を作ってどの作物がどのくらい売れたかなどを事細かに書いて実績を報告することで国から補助が出たのは助かりました。

 

ー軌道に乗るまでにどのくらいの期間がかかりました?

 

小川:4年目で軌道に乗り始めたかなって思いました。

 

ー今が何年目になられるでしたっけ?

 

小川:もうすぐ5年目が終わり6年目に入るところです。

 

ー軌道にのるのに何かきっかけがあったんですか?

 

小川:ピーナッツもやしが売れるようになってきたのが大きいですね。本当は昨年にブルーベリー狩りを始めようと思ってたんですけどコロナが流行ってしまったんで1年延期して量り売りだけにしたんです。ブルーベリーの売上が減った分、ピーナッツもやしが売れたおかげでやってこれたと思います。今年はブルーベリー園も始めたのでより農業で稼ぐんだっていう気持ちでいます

(能古島おがわ農園のピーナッツもやし。能古島では渡船場の販売所で購入が出来る。) 

ーなるほど、ピーナッツもやしが一つの柱として成長しブルーベリー園もこれから本格稼働して二つの柱が出来上がるということですね。

 

小川:そうですね、ここまで来るのに67年は本当にずっと動き続けていました。でもまだまだやりたいことが沢山あるのでこれからも動き続けていきたいです。

(後編へ続く)

 

 

 

ここまで『能古島おがわ農園』さんの創業についてお話を伺ってきました。紆余曲折を経て能古島へ移住しブルーベリーとピーナッツもやしを育ててきた小川さん夫妻。後編ではピーナッツもやしにフォーカスをあてながら、移住してきたからこそ見えてくる能古島の魅力について伺っていきます。

能古島おがわ農園

小川 舞さん

2016年に能古島へ移住し新規就農。ブルーベリーやピーナッツもやしを栽培している。能古島発祥のピーナッツもやしは福岡のみならず東京の有名店などからも注文が入るほどの人気を誇る。今年の7月からは食べ放題のブルーベリー農園もオープンし観光農園にも力を入れていて能古島の未来を担う若手農家である。

【能古島おがわ農園】

住所:福岡県福岡市西区能古284-1

TEL:070-2645-8820

E-mail:nokonoshima.ogawa@gmail.com

営業時間:9:00~17:00

ホームページ:https://nokonoshima.jimdofree.com/