nogami株式会社野上博充 さん┃姪浜で生まれ育った男からみた姪浜の昔と今(後編)

ー前半では事業を立ち上げるまでの経緯を伺ってきました。後編では事業立ち上げからこれまでの事や野上さんの地元でもあるここ姪浜に対する思いなどを語っていただけたらと思います。よろしくお願いします。

 

野上:宜しくお願いします。

 

ー前編では独立した当初、前職のお客さんがついてきてくれたりなどしてくれたおかげで良かったとお聞きしましたが他になにかご苦労されたことはありますか?

 

野上:やっぱりお金では苦労しました。商品を大量に仕入れなければならないので運転資金の工面には苦労しました。きついときは家族や身内にお金を借りて何とかやりくりしてた時もありました。金融機関から借りることが出来るようになってからは身内から借りることはなくなりましたがそれまでは本当に助けられました。

 

ーなるほど、資金繰りで余裕が出てきたのいつごろからですか?

 

野上:ほんとここ最近だと思います。

 

ー事業が軌道に乗り出したのはどのくらいですか?

 

野上:結婚する頃には何とか食べていけるくらいにはなりましたが、本格的に軌道に乗って来たなと感じたのは独立して3年くらい経った頃だと思います。

 

ー事業を続けていく上で大変だと思うことは何ですか?

 

野上:正直なところ大変だったり辛いって思ったことがあんまりないんですよ。自分の性格的にそんなにヘコんで落ち込んだりするタイプではなくてどっちかというと楽観的に考えるタイプなので何か嫌なことなどあっても気にしないんですよね。

 

ーそのメンタルの強さって憧れます。

 

野上:あんまりネガティブに考えても結果は変わらないことの方が多いので気にせず忘れるように体が出来ているんだと思います。そうじゃないと自営業なんてやってられないと思います。お客さんからのクレームもあればスタッフのグチなんかを聞いてあげないといけないわけで次々にいろんなことが起きるのにそれにいちいち落ち込んでいたらこっちが参ってしまいます。経営者の人ってどこかポジティブな人が多いのはそういうところから来てるんだと思います。

 

ーなるほど確かに長年自営業をされている方はそういう方が多いような気がします。

ー話は変わりますが、事業をされていて印象的なことなどありましたか?

 

野上:3カ月前に納品した商品を平気で返品してきたお客さんがいたのは印象的でした。ヘアカラーってやっぱり流行り廃りがあって流行りの色を大量に注文されてきて納品するんですけど、流行りが終わったことで大量に余っちゃって返品されてくるんですね。在庫を過剰に抱えることを避けるためにいろいろとバランスを考えてメーカーから仕入れをしているので大量に返品されると困っちゃいますね。

 

 

(事務所には数多くの商品が保管されている)

ー3カ月経って返品はなかなかですね。他には何かありますか?

 

野上:取引先の美容師さん達の特に若い世代の方達の収入の低さには驚きました。新人の子達は本当に大変。それをどうにかしてあげられないかなとはいつも思いますね。独立して自分のお店をもつようになれば違ってくるんでしょうけど独立するにもかなりのお金が必要になるわけで、独立する以前に自分の生活でいっぱいいっぱいって子を沢山見てきました。

 

ー美容師の世界って華やかに見えますけどとても大変というのはよく聞きますね。

 

野上:若い美容師の生活を少しでも良くしていきたいと思い、お店のオーナーさんとはそういう話をよくしました。例えば店販で商品を売ったら売り上げの何パーセントか歩合を付けてあげられないかなどの提案をしていました。自分も一応経営者なのでオーナーさんの苦しさもわかるので簡単に新人の子の待遇の改善しろなんて軽口は叩けません。なので新人の子のやる気が出てかつオーナーさんにも有益になるようなウインウインの提案をしています。

 

ーなるほど、営業をしていくうえで気を付けているようなことやモットーなど教えてください。

 

野上:まずはオーナーにとって有益な提案をすることはもちろんやオーナーさんがスタッフに言いづらい事を代わりに伝えたりなど商品を提供するだけではなく様々な面でサポートすることを心掛けています。

 

ーオーナーさんの言いたいことを代弁するんですか?

 

野上:ワンマンオーナーでスタッフにガンガンいえるような人だったらしないんですけど、スタッフに何も言えないようなオーナーさんも結構いたりするんですよ。そこでオーナーとスタッフの間に入って橋渡し的な役回りをすることでオーナーからもスタッフからも信頼を得て契約につながる事が結構あります。オーナーさんの信頼を得ることはもちろん大事なんですが、スタッフの方との関係を作る事も大事なんですよね。というのもいずれはスタッフの方も独立して自分のお店を持つわけでここで関係を作っていることで独立されたときにそのまま取引が始まるってことがほとんどなんです。

 

ーなるほど双方の間に入ることでオーナーさんとの関係を構築して行きながら次世代のスタッフに向けて種を蒔いていっているということですね。

 

野上:そうです。ただそれをするにはお金もかかったりします。スタッフの子を食事に連れて行ったりして話を聞いてあげたりしてもちろん食事代は私が払うので大きな出費にはなります。

 

ー新人さんだとまだ若くて食べっぷりも良さそうですね。

 

野上:ほんとによくご飯を食べさせていた子が5、6人ほどいるんですがその子たちがようやく育ってきてやっと独立し始めました。自分の蒔いた種が育ってきているようで本当に嬉しいですね。

一つお店がオープンして契約するだけでもかなり良い取引になるので非常に大きいです。

 

ー今後の事業展開について伺ってもいいですか?

 

野上:最近本当にそのことをよく考えます。ずっとこの仕事を続けていくんだろうか?って。年を重ねてくると一人でやっていくのもきつくなってくるし今の仕事以外でもやりたいと思うことは沢山あるんですよ。

 

ーそうなんですか、たとえば何をされたいんですか?

 

野上:駄菓子屋みたいな地域の子供たちが喜ぶようなことをやりたいっていうのは常々思っています。ただ駄菓子屋なんかは本当に儲からない。あとはおもちゃ屋もやりたいなってよく思います。どうやったらなれるんだろうとか考えますし、今ならネット販売もできるし面白そうだなとは思います。

 

ー駄菓子屋さんや模型屋さんって本当に街からなくなりましたよね。

 

野上:昔はこの辺りにもあったんですけどなくなっちゃいましたね。

 

(無類のおもちゃ好きという野上さん。ご実家には沢山のお宝が眠っているとのこと。)

ー姪浜ってどんな町でした?

 

野上:言い方はあれかもしれませんがマンガ「あしたのジョー」に出てくるドヤ街みたいな感じでしたね。小学生の頃とか本当に凄かったです。肉屋・八百屋・魚屋はもちろんレコード屋や音楽スタジオ、将棋教室に仏具店や電気屋に金物屋などもあってなんでも揃う活気のある街でした。

 

ー旧唐津街道周辺は大規模な区画整理が行われてから活気が失われていったと言いますがどのように思われますか。

 

野上:区画整理によって人の流れは完全に駅の南側に移ったと思います。マンションが沢山建っているので街の人口はむしろ増えているとは思うんですが商売をする街ではなくなったかなと思います。この先ここ周辺は住宅街として収まるとは思っています。

 

ーなるほど、例えば昔の様に商売人が集まって活気のある街にするにはどうしたらいいと思います?

 

野上:まずは若い世代の人たちを主軸として動いていかないといけない時期に来ていると思います。今はまだ若い世代の人と昔からの人たちがうまく融合できていない感じがあります。若い世代の行動力と昔からの人たちの知恵や経験が混ざればまた違ってくるのかなとは思います。あともう1つあるのがテナントが実は意外と少ないっていう問題があります。お店を出そうにも出せるテナントが無いんです。

 

ーたしかにテナントのような建物はあるけどシャッターが下りてて入居者の募集がされていないところが結構ある気がします。

 

野上:というのも私を含めここ周辺で商売をしてた人たちってテナント兼自宅ってところがほとんどなんですよ。それでお店を廃業してからはテナントだった部分は物置にしちゃってて誰かに貸すってことをしないからシャッターが下りたままになってしまうんですね。自宅と隣接してしまっているので難しい部分はかなりあるとは思うんですがここを活用できると少しは変わってくるんじゃないかなと思います。

 

ー新しく入ってこられる方の受け皿が必要ということですね。

 

野上:なかなか難しいとは思いますけどね。ただ、活気がなくなったと言われていますが、人口は増えていますし古くからの人や新しい人たちが混ざって来てて逆に楽しい街になってきていると個人的には思っています。

 

ーなるほど、野上さんは姪北小学校のPTAの会長をされていると伺っているのですがPTAの会長という視点から見た姪浜はどうですか?

 

野上:子育て世代の家族にはとても住みやすい街だと思いますよ。保育園も託児所も沢山あって駅もちかくてバスも沢山通っているし、何をするにも全部揃っている街になったのでそういった意味では姪浜はとてもいい街だと思います。学校もお父さんお母さんたちの雰囲気もいいですよ。今はもう地元の人ばっかりでもないので変なしがらみも無いので良いと思います。

 

ーわかりました。続いて姪浜のおススメスポットを御願いします。

 

野上:うーん、ご飯屋さんだとランチだったら【チャイナキッチン麻婆】、夜だったら【みなくち】や【御園】ですかね。

 

ーどっちも名店ですね!

 

野上:【チャイナキッチン麻婆】はお昼休憩の時とかスタッフとよく行ってますね。【みなくち】は私の同級生のお店で料理はどれも美味しいですよ。特にサツマイモのバター焼きなんかは絶品です。【御園】もずっと昔からあってシャコとか姪浜ならではの食事が食べられるのでおススメです。

 

 

ーありがとうございました。ここまで長い時間インタビューにお答えいただき有難うございました。最後にホームページを御覧の方々になにか一言お願いします。

 

野上:ありきたりにはなってしまいますが海も近くて山もあってマリノアや小戸公園もあって何でもそろっててとても良い所だと思います。是非一度お越しになられてください。

 

ー本日は本当にありがとうございました。 

 

 

 

野上:有難うございました。

nogami株式会社

野上 博充さん

美容室で使用するパーマ液やカラー液といった美容商材を福岡市内を中心に卸販売を展開する「nogami株式会社」の代表取締役。

姪浜のあらゆる商店で組織する「姪浜中央商店会」において副会長を務め、姪北小学校のPTA会長を務めるなど地域の活動にも幅広く貢献している。

【nogami株式会社】

住所:福岡県福岡市西区姪の浜3丁目1-25

TEL:092-407-1341 

FAX:092-407-1342 

ホームページ:https://nogami-es.co.jp/